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確定申告直前の確認事項(所得税編)

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所得税の平成28年分確定申告にあたって、前もって確認しておきたい事項をみてみましょう。

(1)給与所得者の特定支出控除の活用
特定支出とは、給与支払者(会社など)により証明された次の支出(非課税とされる収入により補填される部分を除きます。)をいいます。
①最も経済的かつ合理的な通勤のための通常必要と認められる支出(非課税となる通勤手当は含まれません)
②転任に伴う通常必要と認められる支出
③職務の遂行に直接必要な技術・知識を習得するための研修を受講するための支出
④職務の遂行に直接必要な資格(弁護士・公認会計士・税理士など)を取得するための支出
⑤転任に伴い配偶者との別居を常況とすることとなったこと等につき勤務場所(居所)と配偶者等の居住する場所との間の旅行に通常要する支出
⑥職務の遂行に直接必要な次の支出(65万円限度)…勤務必要経費
イ.書籍等・制服等を購入するための支出
ロ.給与支払者の得意先等に対する接待、供応、贈答等のための支出

特定支出控除を適用できる場合とは、特定支出が給与所得金額の50%相当額(収入金額が1,500万円超の場合は125万円)を超える場合です。
この場合の給与所得金額=(給与収入金額-給与所得控除額)-その超える部分の金額
となります。

給与所得金額の原則=給与収入金額-給与所得控除額
となっているので、給与所得が、その超える部分の金額だけ少なくなり有利になることがお分かりいただけると思います。

また、適用にあたっては申告書に所定事項の記載(所法57の2)や勤務先の証明書の添付等が必要となります。
 
(参考)以前より、適用しやすくなったとはいえ、適用者はまだまだ少ないようです。
平成25年分確定申告での給与所得者の特定支出控除適用者は約1,600人(平成23年分の4人、平成24年分の6人からは急増)にすぎません。

(2)医療費控除の計算
医療保険などに加入していたたため、入院給付金・通院給付金が給付される場合には、医療費の額から差し引く必要があります。
確定申告期限までにまだ給付されていない場合でも、見積額を控除することになります。
ただし、出産手当金、傷病手当金などは控除する必要はありません。

また、控除対象は平成28年中に実際に支払ったものに限ります。
※平成28年受診で平成29年に支払った医療費は、平成29年の控除対象とされます。

(3)所得控除の活用
次の所得控除は、サラリーマンの方でも確定申告しなければ控除が受けられません。※年末調整の対象外のためです。
①雑損控除
②医療費控除
③寄付金控除

最も適用例の多い②医療費控除はもちろん、最近人気の「ふるさと納税」の③寄付金控除も漏れなく活用しましょう。

また、自身のほか、大学生・専門学校生などのお子様の国民年金保険料を支払っている場合は、社会保険料控除の対象として所得控除ができますので、年末調整で未済(未利用)の方は是非ともご活用ください。

(4)所得税額控除の活用
次の税額控除は、サラリーマンの方でも確定申告しなければ控除が受けられません。 ※年末調整の対象外のためです。
①配当控除(配当所得について総合課税を選択した場合)
②住宅ローン控除等(初年度分)
③寄付金税額控除

ただし、②住宅ローン控除は2年目からは年末調整でも控除可能です(会社で控除が受けられます)。

なお、配当金を総合課税にした方が有利となるケースが多くありますので、申告を検討してみましょう。

また、政党や公益法人への寄付金は、一般的には寄附金所得控除より③寄付金税額控除を選択する方が有利になります。

(5)公的年金の申告不要制度の活用
公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下である場合において、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下(「少額所得」と名付けます。)であるときは、納税額が発生したとしても、確定申告は不要にできます。
※還付となる場合はあえて申告することで税金が戻ってきますので、積極的に還付申告するとよいと思います。(この場合は市県民税の申告もしたことになります。)

ただし、確定申告(国に対する申告)は不要であっても、住民税の申告(地方に対する申告)は、①その他の社会保険料・生命保険料・地震保険料・医療費などの控除や扶養の追加をするとき、又は②少額所得があるときには必要とされますから注意してください。

なお、①に該当する方は、住民税の申告をした方が納税額が少なくなりますので必須といえます。

(6)e-Tax(電子申告)での書類保存年数
貼付省略した源泉徴収票や特定口座年間取引報告書などは5年間保存しておかなければなりません。
e-Taxで申告された方は捨てないようにご注意ください。

次に上場株式関係の申告は少し複雑ですが、次の点に気を付けてください。

(7)上場株式等の譲渡損失の繰越
①平成28年分で譲渡損失があった場合は、翌年以降に繰り越す手続きが必要です。
②繰り越した譲渡損失がある場合、平成28年分の譲渡所得から控除するための手続きが必要です。
③本年中に取引がなくても、譲渡損失を繰り越すためには、継続申告が必要です。

もし、平成27年分以前において発生した譲渡損失の申告をしていなかった場合の対応は複雑ですから税務専門家にご相談ください。
<基本的考え方>
当初確定申告書の提出がなければ、「期限後申告」により譲渡損失を申告することで救済されますが、当初確定申告書の提出をした場合で、上場株式等の譲渡損失は申告を失念していたケースについては、「特定口座(源泉徴収選択口座)」では申告不要を選択したことになるため、「更正の請求」や「更正の申出」はできません。
一方、当該ケースについて「特定口座(簡易申告口座)」と「一般口座」であれば「更正の請求」や「更正の申出」により救済されます。

(8)上場株式の配当所得
平成28年分の上場株式の譲渡損失があった場合に、上場株式の配当所得と損益通算したい場合には、確定申告で「申告分離課税」を選択することになります。

なお、総合課税にする方が累進度の関係や配当控除の適用があるため税金上有利となっても、高齢者や国保加入者又は手当受給世帯は、収入や所得の増加による保険料や所得制限への反射(影響)がおきますので注意が必要です。

(9)上場株式の譲渡所得(複数口座あり)
一般口座の譲渡損失を特定口座の譲渡益と損益通算したい場合には確定申告が必要です。
この場合、特定口座で徴収済みの源泉税が還付されることになります。

また、特定口座の譲渡損を一般口座の譲渡益と損益通算する場合にも確定申告が必要です。

なお、この場合において、当該特定口座内に配当の受け入れを行っていたときは、配当所得の申告が必要になります。※特定口座の譲渡損と配当相殺前にリセットを要します。

最後に、贈与税・消費税の平成28年分確定申告にあたって、確認しておきたい事項をみてみましょう。

(1)贈与税
①教育資金の一括贈与
教育資金の一括贈与の贈与税非課税制度の申告については、当初の金融機関への非課税申告書の提出だけで済み、この確定申告の時期に税務署への申告や届出は特に必要ありません。
ただし、受贈者が30歳になるなどして、課税対象額がある場合には、贈与税の申告納税が必要となります。(こちらは、まだ制度ができて間もないため実際の申告納税はかなり先になると思われます。)
②住宅取得等のための金銭贈与
父母・祖父母などの直系尊属から受ける住宅取得等資金の贈与については、非課税枠(良質な住宅用家屋で1,200万円、一般住宅用家屋で700万円)以内の金銭贈与であっても申告が必要です。
㊟住宅ローン控除も重複適用する場合、住宅取得等資金の贈与額の一定額が住宅ローン控除対象金額にならないことがありますのでご注意ください。
また、省エネ住宅や耐震住宅に該当する場合、住宅投資減税(例えば認定長期優良住宅の新築等特別税額控除)との併用適用も検討するとよいでしょう。
※住宅取得等資金として、住宅用家屋の新築(贈与日の翌年3月15日までに行われたものに限る)に先行してする土地購入代金も認められています。しかし、この場合でも当該受贈者はその新築家屋に受贈者自身の持分を持つ(所有する)ことが前提となります。

(2)消費税
平成25年分から免税点の判定方法が変わっています。

例えば平成28年分については、特定期間(基本は前年の上半期∴H27年1~6月)における課税売上高※が1,000万円超であれば、たとえ基準期間(前々年∴H26年)における課税売上高が1,000万円以下であったとしても、消費税の課税事業者となるため申告納税が必要になります。
ただし、課税売上高※に代えて、給与等支払額(H27年上半期∴H27年1~6月の源泉所得税の納付書記載の給与支給総額)が1,000万円以下であったならば、なおまだ免税事業者でいられます。
つまり前年から事業規模が急拡大している事業者は課税事業者とされる場合があるので注意が必要です。

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