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海外旅行者(帰国時)の税関手続き

 

【準拠:平成31年4月1日現在法令等】

海外旅行者が「帰国時(入国時)」に行わなければならない手続きに「税関手続き」があります。
この記事では、その中の「税関申告」について見ていきます。

税関申告とは

日本に輸入される貨物は、本来であれば、その貨物の数量や価格、原産地などの詳細を税関に申告して輸入の許可を受けなければなりません。

㊟基本的に保税地域(外国貨物を一時保管しておく場所)に搬入した後に、税関の許可を受けてから引き取ります。しかしすべての貨物について行うのは現実的に無理です。そこで簡便な旅具通関があります。

しかし、旅行者が輸入する品物(別送品*も)については、「旅具通関(りょぐつうかん)/ ハンドキャリー」という、一般貨物より簡単な手続きが認められています。

*別送品とは、海外で買った品物やもらった品物を携帯しないで、郵便や宅配便などを利用して日本に送付したもの。

この手続きは、税関に「携帯品・別送品申告書」(別送品があるときは2通)を提出して行います。税関の手荷物検査場で税関職員によるチェックと納税額の計算が行われ、その場で輸入許可が受けられます。

 

税関申告(旅具通関)手続き

■免税範囲

旅行者が、帰国時に携帯および別送する品物のうち、個人的に使用すると認められるもの限って、成人一人あたり、次の範囲が免税となります。

①酒類:3本(1本あたり760ml程度のもの)

②たばこ

紙巻たばこ*:400本

*日本製、外国製の区別なし(2018年10月1日より)

※葉巻たばこやその他のたばこは別途免税点あり

③香水:2オンス

※1オンスは約28ml

④その他の物品*:20万円(海外市価の合計額)

※合計額が20万円を超える場合、20万円以下におさまる品物が免税となり、残りの品物について課税されます。
*一般の関税率が適用されるもの、消費税および地方消費税のみが課税されるものを除く。

<免税範囲の留意点>

・1品目ごとの海外市価の合計額が1万円以下のもの:無条件で免税となります。また、海外市価の合計額(20万円)にも含まれません。

・未成年者の場合:酒類とたばこは免税になりません。

・6歳未満の子供の場合:おもちゃなど子供本人のもの以外は免税になりません。

■税率の種類

税率は、品物や価格によって、いくつかの種類(大きく3つ)があります。

【1】簡易税率

原則として海外からの輸入品には、関税に加えて、内国消費税が課せられますが、旅行者の携帯品や別送品*の一部には、「簡易税率」(関税と内国消費税の率をあわせて定められる。)が適用されるものがあります。

*次の条件を満たし、帰国時に税関に申告した別送品(入国後の申告では不可)
・荷物の外装や送り状に「別送品(Unaccompanied Baggage)と明確に書くこと
・荷物の受取人を旅行者本人とすること
・旅行者が帰国して6か月以内に別送品の輸入が行われること

①酒類

(1ℓあたり)
・ウイスキー、ブランデー:600円
・ラム、ジン、ウォッカ:400円
・リキュール、蒸留酒(焼酎など):300円
・ワイン、ビール、発泡酒:200円

②紙巻たばこ

(1本につき)12.5円

③その他の物品

15%

 

【2】一般の関税率

1個(1組)の課税価格が10万円超のもの、旅行者が簡易税率を希望しない場合には、簡易税率は適用されず、一般の貨物と同様に、原則どおり関税のほかに消費税および地方消費税が課税されます。(商業輸入はこちらに該当)

 

【3】消費税および地方消費税のみ(関税は無税)

例えば、腕時計・貴金属性の万年筆・貴石(裸石)・ゴルフクラブ・書画・CD・DVD・パソコンなど(該当品物)は、関税がかからず、消費税および地方消費税のみが課税されます。

※WTO(世界貿易機構)に加盟している国から「香水」、「口紅」、「マニュキア用品」など輸入する場合も関税はかからず、消費税および地方消費税のみが課税されます。
㊟日本人旅行者の観光国はほとんどが加盟しています。

 

税額の計算例

(20歳以上の日本人旅行者が帰国時に携帯または別送して輸入する場合を前提)

税額計算<1>:酒類、たばこ、香水

①1本750mlのウイスキー・・・4本

②紙巻たばこ・・・600本

③海外市価1個8,000円の香水(1個1/2オンス)・・・4個

(考え方)

①酒類は、値段にかかわらず、760ml程度のもの3本までが免税

→1本分が課税対象

750ml÷1,000ml(1ℓ)=0.75ℓ 

∴0.75ℓ×600円=450円→400円(百円未満切捨)

②紙巻たばこは、400本までが免税なので、それを超える200本が課税対象。

→200本分が課税対象

∴200本×12.5円=2,500円

③香水は、値段にかかわらず、2オンスまでは免税

→範囲内で免税

なお、「香水」は課税対象になった場合でも、関税はかからず、消費税および地方消費税のみが通常は課税されます。(WTO加盟国の場合の扱い) 

<納税額>

400円+2,500円=2,900円

税額計算<2>:その他の物品①

①1枚6,000円のスカーフ・・・1枚

②1組5,000円のティーカップ・・・3個

③1個180,000円のハンドバッグ・・・1個

※価格はすべて海外市価とする。

(考え方)

①スカーフは、1品目ごとの海外市価の合計が1万円以下なので無条件で免税。また、海外市価の合計額(免税範囲20万円)にも含まれません。

②ティーカップは、1品目ごとの海外市価の合計(15,000円)が1万円を超えているので
免税範囲20万円に含めます。

③ ハンドバッグは、もちろん免税範囲20万円に含めます。

→②と③を合計すると、195,000円となり、20万円以内なので、いずれも免税

<納税額>

0円(全品が免税)

税額計算<3>:その他の物品②

①1個120,000円の指輪・・・1個

②1着70,000円のジャケット・・・1個

③1個80,000円の腕時計・・・1個

※価格はすべて海外市価とする。

(考え方)

①②③の海外市価を合計すると270,000円であり、免税範囲20万円を超えているので、範囲外となる物品に対して課税されます。

税額は、納税者有利に、税額が高くなるものから優先的に免税とされます。

①指輪

→120,000円×0.6*=72,000円(課税価格)

∴72,000円×15%=10,800円

②ジャケット

→70,000円×0.6*=42,000円(課税価格)

∴42,000円×15%=6,300円

③腕時計

腕時計は、消費税および地方消費税のみが課税されるものに該当する。

→80,000円×0.6*=48,000円(課税価格)

∴48,000円×8%=3,840円→3,800円(百円未満切捨)

税額の高いものから免税範囲に入れた方が有利になるので、①指輪(120,000円)、②ジャケット(70,000円)を免税として(合計190,000円)、③の腕時計を課税とする。

<納税額>

3,800円

*課税される場合の税額の計算は「課税価格」(=海外市価**の6割程度)をもとに行います。そのため海外市価×0.6をしています。∴納税者有利に設定

 **海外市価とは、外国における通常の小売価格(購入価格)のこと。

いろいろなパターンがあり計算になれるまで大変ですが、少しずつ免税・課税ルールを身につけましょう!

注:「U-CAN 旅行業務取扱管理者テキスト(速習レッスン)」より引用

 

「出国時」の税関手続きの記事はこちら↙をご覧ください。 

taxlab.hatenablog.jp

■参考URL(税関)

<税関パンフレット> 海外旅行者の皆様へ(通関案内)
http://www.customs.go.jp/zeikan/pamphlet/tsukan.pdf