イントロダクション
この記事では、ホテルの客室(ルーム)、ベッド、備品やアメニティに関する豆知識をまとめています。
知っていると自分に合った客室選びの役に立つと思います。
客室(ルーム)について
ルームカテゴリー(グレード)
ホテルの客室は通常、広さ、設備・機器、景観、サービス等々によって、いくつかのカテゴリーに分類されています。
次は客室を一般的にグレードの低い順から並べたものですが、オリジナルのネーミングがあったり、景観や立地によってさらに細分化されていたりと、とても把握しきれないほどバラエティ豊かです。また、クラブルームなど特定のルームゲストのみ利用できるラウンジサービスを提供するホテルもあります。
・ エコノミー(Economy Room)※economy(経済的)という意味。お安い部屋という意味で、スタンダードルームがある場合、その下のグレードとして使われることが多いです。
・ スタンダード(Standard Room)※standard(標準の)という意味。ホテルの最も一般的(悪く言えば一番安い)お部屋という意味になります。
・ モデレート(Moderate Room) ※moderate(適度な)という意味。スタンダードルームよりもひとつ上の、ないしは同等程度の部屋に付けられることが多いです。
・ コンフォート(Comfort Room)※comfort(快適な)という意味。スタンダードルームよりちょっと上という意味で使われることが多いです。
・ スーペリア(Superior Room)※superior(上質の、より優れた)という意味
・ デラックス(Deluxe Room)※deluxe(豪華な)という意味。調度品や設備などが通常の部屋よりも優れている形になります。
・ エグゼクティブルーム(Executive Room)
・ クラブルーム(Club Room)
・ ジュニアスイート(Junior Suite)※寝室とリビングが完全には分離されていないような構造
・ スイート(Suite)※Suite(一そろい)という意味。寝室、リビング、応接室が用意されている客室
※モデレートは、ホテルによっては最もリーズナブル(安い)な客室タイプに設定されていることもあります。スーペリアの客室がある場合は、モデレートのほうが安い料金である場合が多いです。
ルームタイプ(宿泊人数/広さ)
一般的にホテルのルームタイプは「宿泊人数」で区別されます。次の順に客室面積(広さ)が大きくなるのが一般的です。
・ シングルルーム(1人):部屋には1台しかベッドがなく、1人で1つのベッドを使います
・ ツインルーム(2人):部屋には2台のベッドがあり、1人で1つずつベッドを使います
・ ダブルルーム(2人):部屋には大きめサイズのベッドが1台あり、1台のベッドを2人で使います
・ トリプルルーム(3人):2人で寝られるサイズのベッドが1台または2台あり、3人で使います
※最近は、ツインルームやダブルルームのシングルユース(1人利用)という形態が多くなっています。ゆったりと過ごしたい単身宿泊客向けのプランといえます。
アップグレード
部屋のアップグレードは、空室状況やOTA*戦略などによりホテル側のご厚意でして頂けるものですが、強烈なアップグレードを引き出す方法があります。
それは、ホテルの常連客やホテルの上級会員になることです。
気に入ったホテル(またはホテルグループ)があれば泊まり倒すのが効果的なのです。
*OTA…Online Travel Agent(オンライン・トラベル・エージェント)、楽天トラベルやじゃらんなどのインターネット旅行会社のこと。OTA戦略には、例えば無償アップグレードで口コミ評判を上げる対策などがあります。
ルームチェンジ
ホテルにチェックイン後、割り当てられた部屋が期待に達していないことがあります。
掃除ができていなくて汚い、狭くて外からの日差しが入ってこない、景色が悪く騒音がするなど、いろいろな理由で、部屋が気に入らなくて、ルームチェンジをしたくなる場合があります。
そんな時は、フロントに出向いて(または室内電話をして)部屋を変更してもらうことができます。
部屋の料金は同じグレードの場合は、一般的に追加料金なしで大丈夫ですが、グレードアップしたり、眺望が良い部屋、新館など設備が新しい部屋に変更となる場合は、追加料金が必要になることがあります。料金は多少アップしてしまいますが、居心地の悪い部屋に泊まるよりも、ずっと快適に過ごせて、満足いく滞在になるのでおすすめです。
客室ベッドについて
ベッドサイズ(種類)
一般的にホテルのベッド種類は「ベッドサイズ」で区別されます。
・ シングルベッド:100㎝×195㎝(~200㎝前後「以下同様」)
・ ワイドシングルベッド:110㎝ ×195㎝
・ セミダブルベッド:120㎝×195㎝
・ ダブルベッド:140㎝×195㎝
・ クイーンサイズベッド:160㎝×195㎝
・ キングサイズベッド:180㎝×195㎝
*上記のベッドサイズは一般的な標準サイズの幅×長さになります。
※semi(セミ)は半ば・半分という意味
世界三大ベッドブランド
通称「3S」と呼ばれるシモンズ(Simmons)、シーリー(Sealy)、サータ(Serta)の米国3社になります。
ただ、これらは全てアメリカのベッドメーカーなので、日本人の体型にフィットするかは未知数です。
フランスベッドなど日本社製のものを使うホテルもあります。
主なベッドメーカー
デュベスタイルとは
一般的なベッドメイクは、掛け布団とマットレスの間にシーツが挟まった「スプレッドタイプ」といわれるものです。いっぽう掛け布団全体をカバーで包む「デュベスタイル」は、寝相が悪くてもシーツがめくれず「常に体の触れる部分が清潔に保たれる」ベッドメイキングになります。布団の形状は、家庭用のものと違いベッドカバーのようにサイドに垂れがついています。その上に「フットスロー」という布がベッドカバーの代わりにベッドの下部に掛けてあります。最近流行りの人気スタイルです。
ターンダウン(サービス)とは
ターンダウン・サービスとは、夕方に客室係が部屋に来て、ベッドスプレッドをはずして寝やすいようにベッドを整えてくれるサービスのこと。全てのホテルで提供されるわけではなく、基本的にはデラックスホテルでのサービスとなります。
客室備品について
備品類
ポンプやボトルタイプのシャンプー、リンス、ソープ、ボックスティッシュ、ドライヤーなどの備品類を持ち帰るのはNG、タオル類もクリーニングして使っているのでNG、市販雑誌類、携帯充電器、懐中電灯などもNGです。再利用するもの、補充式のもの、消耗品でないものは持ち帰ることはできません。※旅館だと薄いタオルは持ち帰りができたりします。
アメニティ
使い切りタイプの小袋(小瓶)入りアメニティは持ち帰りOKです。カミソリ、ヘアブラシ、シャワーキャップ、ヘアネット、ヘッドバンド、ヘアゴム、ボディスポンジ、ウォッシュボール、ボディタオル、コットンセット、ヘアクリップ、綿棒、固形石けん、使いきりシャンプー類(ミニボトルやパウチに入っているもの)、使いきり化粧品、入浴剤などが該当します。
ランドリーバックは洗濯物をフロントに預けて洗濯してもらうために入れる袋ですが、これもお持ち帰りOKです。自分の着替えなどを入れたりするのに便利です。
シューシャインペーパーもお持ち帰りOKで、かばんの中に潜ませておくと靴の汚れを落とすのに便利です。
サイン(合図)
ビジネスホテルでは内側ドアにマグネット式やプレート式のサインがあることがほとんどです。
ホテルスタッフは連泊時の清掃などの用件があるとお部屋に伺いますが、その際、部屋のドアに何もサインがなければお部屋に入ってしまうことがあります。そこでホテルでは「Do not Disturb」だったり「Private Please」つまり「入室しないでください」と書かれた札を部屋のドアにかけてもらうことでそういった誤入室を防いでいるわけです。
またDo not Diturbの札と同様に「Make up Room」つまり「清掃してください」という札があるホテルもあります。これをかけておけば優先的に清掃してくれますので不安な人はかけておくことをおすすめします。
最近はランプ(点灯)で知らせるホテルもありますが、要領は札の場合と同じです。
まとめ
客室(ルームそのもの)は、そのホテルでの滞在体験に大きく影響するものなので、可能な限り自分に合った部屋(グレードや広さ)であることが理想的です。
客室ベッドは、ホテル滞在中に長時間(睡眠時間)利用し、宿泊評価に大きく影響するため、各ホテルとも品質向上に力を入れています。最近は海外有名ベッドブランドのマットレスを導入するなど、睡眠をサポートしています。備品類やアメニティも滞在の快適度や満足度に影響するため無下にできないアイテムです。
個人的には、快眠環境は主役となるベッドはもちろん、客室内の空調環境(快適な温度・湿度調節)、防音(遮音)、遮光(照明)環境などトータルでの環境づくりが重要だと考えています。
阪急阪神第一ホテルグループのホテルブランド『remm』のように「よい眠り」をコンセプトにしたホテルも出てきています。
これからのホテルには快適な「寝室」を兼ねる上質な「客室」づくりを期待したいと思います。