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総合・国内旅行業務取扱管理者試験(合格体験記)

 

イントロダクション

この記事では、旅行業界とは無関係な一般社会人である執筆者が、限られた時間と独学環境の中で、総合旅行業務取扱管理者試験に一回受験で合格できた体験談をご紹介しています。主に合格に役立ちそうな独学用の学習参考書とツール(必要最小限の厳選選択した教材)の紹介に注力しています。同じような独学環境にある方が受験する際に役立てばと思い執筆しました。ちなみに筆者は、下記教材だけを活用して2018年9月国内試験、2019年10月総合試験に合格しています。

受験のきっかけ

元々趣味でぶらりと旅行(もっぱら国内)するのが好きで、人気の観光地やJR規則や航空ルールなどに興味があり、深堀してもっと体系的な知識を身に着けたいと思ったのが一番のきっかけです。一言でいうと「旅行上手になりたい」という思いから受験を決意しました。また仕事関係で観光団体に関与していたこともきっかけの一つでした。

 

総合旅行業務取扱管理者試験の概要

試験概要(正規ルート)

総合旅行業務取扱管理者試験(以下「総合試験」と略します。)は、観光庁管轄(試験実施機関はJATA(日本旅行業協会))の国家試験で、試験科目は次の4科目からなります。試験時間はトータルで200分(◆試験科目①+②=80分、③+④=120分)です。

◆受験資格
不問

◆試験日
10月上旬の日曜日

◆受験手数料
6,500円

◆試験科目
①旅行業法及びこれに基づく命令(100点)
②旅行業約款、運送約款及び宿泊約款(100点)
③国内旅行実務(100点)
④海外旅行業務(200点)

◆合格基準
合格基準ラインは60%となっています。

◆試験科目の免除制度
①科目免除制度
国内旅行業務取扱管理者試験(以下「国内試験」と略します。)に合格していれば、合格の次年度以降、総合試験の上記①と③の2科目が免除されます。
②科目合格制度
総合試験において、上記③または④が合格基準点に達した場合、その科目を一部合格とし、翌年の総合試験においてのみ当該科目の受験が免除されるという科目合格制度があります。
③管理者研修制度
旅行業務従事者には、総合試験において、科目一部免除のための研修があります。※詳細は各自、試験実施団体のHP等でご確認ください。

※(参考)国内試験においても、②③については同様の制度があります。

◆合格戦略
もちろん正規の4科目合格が望ましいと思いますが、正規合格率は10%前後とかなりの難関で、時間の限られる社会人にとってはハードルが高く感じます。

そこで筆者は、上記①科目免除制度を使って、総合旅行業務取扱管理者試験合格を目指す戦略を採ることにしました。このルートでは、総合試験においては2科目合格でよいので、合格率が高くなるメリット(約30%前後)がある反面、試験と付きあう期間が長くなる(約2年)いうデメリットがあります。
この辺りは、自分の能力・性格と相談して、総合判断することになろうかと思います。集中力が高く、記憶能力も高い方は4科目一括合格も十分狙えると思います。ただ、この記事では2年ルートを前提にして執筆しています。

 

国内旅行業務取扱管理者試験(一年目受験)の対策

国内試験概要(正規ルート)

国内旅行業務取扱管理者試験は、観光庁管轄(試験実施機関はANTA(全国旅行業協会))の国家試験で、試験科目は次の3科目からなります。試験時間は120分です。

◆受験資格
不問

◆試験日
9月上旬の日曜日

◆受験手数料
5,800円

◆試験科目
①旅行業法及びこれに基づく命令(100点)
②旅行業約款、運送約款及び宿泊約款(100点)
・標準旅行業約款
・運送約款、宿泊約款
③国内旅行実務(100点)
・JR運賃・料金
・国内航空運賃、宿泊料金、貸切バス・フェリー運賃・料金
・国内観光資源

◆合格基準
合格基準ラインは60%となっています。

◆免除制度などの説明は省略しております。
※詳細は各自、試験実施団体のHP等でご確認ください。

国内試験の対策

①旅行業法及びこれに基づく命令
テキストの熟読と過去問の反復練習で合格点へ達します。休日のまとめ学習に適します。

②旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
こちらもテキストの熟読と過去問の反復練習で合格点へ達します。休日のまとめ学習に適します。

③国内旅行実務
この科目は出題パターンが一定せず、広範囲な学習(準備)が必要です。

中でも「JR運賃・料金ルール」と「国内観光資源」がヤマといえます。
筆者は、下記の動画を活用させていただきました。

<JR運賃・料金ルール>

www.youtube.com

<国内観光資源>

www.youtube.com

残念ながら、リンク動画は現在アップされていませんが、うまく検索すれば役立つ動画が見つかると思います。

ポイントは、すきま時間に地図を広げて眺め、暗記をすすめることです。休日にまとめて勉強するのではなく、毎日30分でも細切れに取り組む方が効果的です。

問題演習も並行して行うと頻出箇所と出題方法が分かるようになって暗記の要領がつかめるようになります。イメージとしては、地名と場所と特徴をリンクして覚えると効果があります。※単に文字暗記だけでは役に立ちません(≒得点にはつながりません)。

最後の仕上げには、本試験の過去問を使います。(直近5年分)
そして直前の腕試しには、大原の公開模擬試験を活用しました。

◆学習時間の配分

上記①、②、③の順に、1:1:3

◆使用した学習参考書

①2018年版 U-CANの国内・総合旅行業務取扱管理者速習レッスン(2,800円+税)
※法改正情報も万全です。

www.o-hara.jp

◆模擬試験

大原 公開模擬模試(通信・自宅受験)(税込3,000円)

国内本試験について

◆本試験問題の出題傾向
①旅行業法及びこれに基づく命令(100点)・・・出題パターンが一定
②旅行業約款、運送約款及び宿泊約款(100点)・・・出題パターンが一定
③国内旅行実務(100点)・・・出題パターンが変則

◆本試験時間の配分
120分あれば特に時間配分を意識しないでも解き切れます。

 

総合旅行業務取扱管理者試験(二年目受験)の対策 

総合試験(科目免除コース)概要

総合旅行業務取扱管理者試験(科目免除コース)の試験科目は次の2科目からなります。2科目に集中できるという最大のメリットがあります。
①旅行業約款、運送約款及び宿泊約款(100点)<午前:40分>
・標準旅行業約款
・運送約款、宿泊約款
②海外旅行実務(200点) <午後:80分>
・国際航空運賃
・出入国法令(CIQ)
・語学
・海外観光資源
・海外旅行実務

合格基準ラインは60%となっています。

総合試験の対策

①旅行業法及びこれに基づく命令
テキストの熟読と過去問の反復練習で合格点へ達します。休日のまとめ学習に適します。前年に受験した国内試験の知識ストックがあるので見直すだけで十分だと思います。
②総合旅行実務
この科目は出題パターンが一定せず、広範囲な学習(準備)が必要です。
中でも「国際航空運賃ルール」、「海外観光資源」と「語学(観光英語)」がヤマといえます。
筆者は、国際航空運賃ルールについては下記のサイトを活用させていただきました。
https://www.ofc.co.jp/koza/

海外観光資源のポイントは、国内試験と同様、すきま時間に地図を広げて眺め、暗記をすすめることです。休日にまとめて勉強するのではなく、毎日30分でも細切れに取り組む方が効果的です。

問題演習も並行して行うと頻出箇所と出題方法が分かるようになって暗記の要領がつかめるようになります。イメージとしては、地名と場所と特徴をリンクして覚えると効果があります。※単に文字暗記だけでは役に立ちません(≒得点にはつながりません)。

語学については得意不得意が大きく分かれるところですが、大学受験をイメージして観光分野に絞った英語を勉強するとよいでしょう。筆者は、まずは読解のキーワードとなる業界用語の暗記からはじめて、英語に親しむため(将来の海外旅行を見据え)下記教材⑥を使ってトラベル英会話にも取り組みました。包括的な対策としては下記教材⑦をこなしました。

最後の仕上げには、国内試験と同様に、本試験の過去問を使います。(直近5年分)
そして直前の腕試しには、大原の公開模擬試験を活用しました。

◆学習時間の配分
上記①、②の順に、1:9

◆使用した学習参考書
①2018年版 U-CANの国内・総合旅行業務取扱管理者速習レッスン(2,800円+税)
※法改正情報も万全です。

www.u-can.co.jp

本来であれば最新版のテキストを使うべきですが、アンダーラインなど引き直すのが二度手間なことと愛着があったので前年のものを引き続き使用しました。しかしこれはあまりおすすめできません。

②2019年度版 海外旅行業務取扱管理者 過去問題集(TAC出版)(2,600円+税)

③2018年対策 旅行業務取扱管理者試験 標準テキスト 1観光地理<国内・海外>(大原出版)(1,500円+税)

④2018年対策 旅行業務取扱管理者試験 標準トレーニング問題集 1観光地理<国内・海外>(大原出版)(1,000円+税)

⑤世界地図 ダイソー(100円+税)※海外観光資源対策用、壁に貼って位置暗記
㊟2レター(航空会社コード)、3レター(都市コード・空港コード)は世界地図上の国や都市と紐づけて暗記すると効果的です。

⑥海外旅行ひとこと英会話CD-BOOK 藤田英時著(476円+税)※語学対策用

⑦旅行業実務シリーズ⑦  旅行英語 2019   JTB総合研究所(税込2,640円)※語学対策用

⑧レンタルした世界遺産DVD ※海外観光資源対策用

www.psg-soft.com

⑨旅行パンフレット ※海外観光資源対策用

⑩19~20年版 ユーキャンの旅行業務取扱管理者<観光資源(国内・海外)>ポケット問題集&要点まとめ(1,800円+税)※直前確認用

大原 公開模擬模試(通信・自宅受験)(税込5,000円)

総合本試験について

◆本試験問題の出題傾向
①旅行業約款、運送約款及び宿泊約款(100点)<40分>・・・出題パターンが一定
②海外旅行実務(200点) <80分>・・・出題パターンが変則

◆本試験時間の配分
上記①は40分の時間内に解き切れると思います。
②はボリュームがあり、80分しかないので、時間配分を意識する必要があります。下手に考え込むと時間内に全部解答しきれない場合があります。筆者は、自分が手掛けやすいと感じた、海外観光資源(10分)→海外旅行実務(15分)→出入国法令(CIQ)(10分)→国際航空運賃or語学(残りの45分を適宜配分)の順に解くように意識しました。※各人が自分に合った解答順序を確立することがポイントです。

 

感想

業界人にとっては試験合格は切実な問題だと思いますが、私のような一般人は試験に合格したからといって何かが大きく変わることはありません。しかし、旅行を切り口に、国内はもちろん海外の政治・経済・社会にも興味を持てるようになり、視野が大変広がったと感じます。これまで興味のなかった芸術や芸能、歴史や文化にもアンテナを張るようになりました。何より日刊紙を国際面を含め隅々まで読むのが苦でなくなりました。

投資会社を運営していることもあり、これからは投資対象を海外にまで広げていきたいとも考えています。日本は少子高齢化のため経済成長力で大きなハンデを背負い、投資対象としての魅力が減ってきています。投資実行にあたり、海外情勢を自分自身の眼で確かめるため海外旅行(海外視察)にも出かけたいと思っています。小さいながらも旅行代理店・民泊を兼営したいという夢もあります。

 

まとめ

総合・国内旅行業務取扱管理者試験は国家試験の中では比較的合格しやすく、また興味がある受験者にとっては勉強そのものが楽しい試験といえます。

日々の学習では、学ぶ範囲に限度と限界を設けずに貪欲に知識を習得されるのがよいと思います。旅行好きな方なら自分自身の旅行計画を立てるイメージで学習するとやる気も持続します。

そして受験勉強の最終日となるであろう試験日当日だけは合格することだけに集中し、満点を狙うのではなくて合格ラインを確実に越えることを最優先の目標にすると必ずよい成果が出せると思います。

拙い記事ですが、試験に挑戦される皆様のお役に立てれば幸いです。